気性が失われた


産業革命を起こしたイギリスは、19世紀の前半には繊維業だけでなく、
鉄鋼や鉄道などの重工業部門でも先駆的な役割を果たし、
ヨーロッパの他の国々を圧倒していた。

しかし、19世紀の後半になると、その勢いが鈍ってきた。
遅れを取り戻そうとするフランスやドイツの工業の発展に圧されて、
イギリスは成長の度合いが低くなった。
経済発展のなかで、社会的に保守思想がいきわたり、
進取の気性が失われたからであろう。